- Home
- ルシフェラーゼ連載エッセイ
ルシフェラーゼ連載エッセイ
連載エッセイ ~Elucをめぐる旅の物語~
投稿日 2026年04月02日
- 近江谷先生を偲んで
2014年3月20日に始まった、近江谷克裕先生の連載エッセイ「Elucをめぐる旅の物語」は、2026年1月22日掲載の「第143回 Elucをめぐる旅の物語-ルーマニア→日本→タイ→ルーマニア」が最終回となってしまいました。 先生が1月21日に原稿をお送り下さった際に、4月に2週間日本に帰国されると伺い、4月に神戸で一献傾けることを約束しました。ところが、その一週間後に、先生の一番弟子の方から、近江谷先生がルーマニアで急逝されたことと、先生が客員教授として教鞭を執っておられるBUCHAREST大学のwebページに追悼文が掲載されたことをお知らせ頂きました。 あれだけ元気に世界を股にかけ活躍され、直前も第143回の標題のように、アジアとルーマニアを駆け巡っておられ、いつもと変わらぬメールをいただいていたことから、先生のご逝去をにわかに信じることができませんでした。
改めて当社の連載エッセイを読み返してみて、先生のイメージング解析への多大な貢献を再認識しました。 ブラジルのヒカリコメツキムシからホタルの10倍明るいルシフェラーゼElucを単離し、ルシフェラーゼを細胞レベルのイメージングに活用する道を切り開かれました。 そして、スプリットルシフェラーゼアッセイ系を確立し、細胞内のタンパク質-タンパク質相互作用の可視化を可能としました。 また、様々な生物から様々なルシフェラーゼを単離し、異なる発光色を持つルシフェラーゼによるマルチ遺伝子発現解析法を開発されました。 更には、これらの研究成果をもとに、世界の発光生物、イメージング研究者と交流を重ねるとともに、国内外の若手研究者の育成に熱心に取り組んでこられました。 それらの様子は、当社の連載エッセイの中で詳細に語られていますので、是非ご一読いただければと思います。 それらの交流を通し伸び盛りの東南アジアの国々と、日本の現状を対比し、日本の研究力低下の原因を鋭くえぐりだし、様々な警鐘を鳴らすとともに、日本の若手研究者を叱咤激励されてきました。
最後となった第143回では、近隣諸国との関係構築について、タイ、ルーマニアと対比させながら日本の現状を分析し、「私は日本が十字路国家の一つであり、四方の国家との調整には苦労するが、四方からの情報を受けることで、国家の進むべき方向が見えやすく、国家の進むべき道を柔軟に選択できるはずと思っている。そこに強みがあるはずだが、今の日本はどうだろうか? 皆さん、他国を無視し、日本ファーストが蔓延している。世界の孤児に見えるのは私だけか?」と結んでおられます。 これが正に私たちに対する先生の遺言となってしまいました。
先生は、研究者同士の飲ミニュケーションを大変大事にされて来られ、この連載エッセイの中にも沢山の飲ミニュケーションの写真が出てきます。 また、当社内での飲ミニュケーションのために、海外の珍しい酒、貴重な酒をよく送ってくださいました。 昨年の暮れにいただいたルーマニアのワインとビールは、まだ手つかずのまま社内の冷蔵庫に眠っていますが、しかるべき時に、先生を偲びながら、先生の遺言をかみしめて良き日本の構築に思いを巡らせつつ、嗜ませていただこうと思います。
近江谷先生、本当に長い間お世話になり有難うございました。 先生のご冥福をカルナバイオサイエンス社員一同、心よりお祈り申し上げます。
写真1:近江谷先生からお届け頂いたルーマニア産ワインとビール
写真2:D.O.C.-C.M.D. MURFATLAR ムルファトラル産・完熟ブドウ使用の最高格付けルーマニアワインであることが示されたラベル
