カルナバイオサイエンス株式会社

カルナバイオサイエンス株式会社

Pipelineパイプライン

当社は、がん、免疫炎症疾患を重点領域として、革新的な医薬品候補化合物のパイプラインを構築しています。
また、キナーゼが標的となるアンメットメディカルニーズの高い疾患の治療薬の開発にも積極的に取り組んでいます。

  • 化合物
  • 標的
    • Discovery
    • Preclinical
    • Early Clinical
    • Late Clinical
  • 開発パートナー
  • 開発地域
  • monzosertib
    (AS-0141)
  • 標的: CDC7/ASK
  • Discovery Preclinical Early Clinical Late Clinical
  • 開発パートナー:
  • 開発地域:
monzosertib (AS-0141)
monzosertibは、当社が創製した、CDC7キナーゼを標的とする低分子阻害剤で、CDC7キナーゼの活性を選択的かつ強力に阻害します。monzosertibは、固形がんや血液がんなど、様々ながん種の細胞の増殖を強く阻害しますが、正常細胞の増殖には影響が少ないことから、副作用の少ない抗がん剤として期待されます。また各種ヒト腫瘍移植動物モデルにおいて優れた抗腫瘍効果を示しています。現在、monzosertibは進行・再発・難治性又は遠隔転移を伴う悪性腫瘍患者を対象として、非盲検フェーズ1試験を実施中です。本試験は、用量漸増パートおよび拡大パートの2段階に分かれており、安全性や最大耐用量等を評価するとともに、フェーズ2試験の推奨用量を決定することを主要目的としています。
CDC7
CDC7 (cell division cycle 7) は、セリン/スレオニンキナーゼの1種であり、細胞周期において染色体複製開始の制御に重要な役割をしています。がん細胞では、細胞周期の制御に異常をきたしているため、CDC7を阻害すると、不完全なDNA複製が引き金となって、染色体の不安定化を引き起こし、がん細胞に細胞死を誘導します。一方で、正常細胞は、細胞周期の制御が正常であるため、CDC7活性が阻害されても細胞は死ぬことはなく、この点からCDC7阻害剤は非常に副作用の少ない新しい治療薬になると期待されています。近年、様々ながんでCDC7が過剰発現していることが報告されており、CDC7阻害薬は、がんの新しい治療薬として期待が寄せられています。
  • Small
    Molecule
  • 標的: DGKα
  • 米ギリアド・サイエンシズ社に導出
  • 開発パートナー: Gilead Sciences
  • 開発地域: 全世界
  • Small
    Molecule
  • 標的: Kinase
  • 住友ファーマと共同研究
  • 開発パートナー: 住友ファーマ
  • 開発地域: 全世界
  • sofnobrutinib
    (AS-0871)
  • 標的: BTK
  • Discovery Preclinical Early Clinical Late Clinical
sofnobrutinib (AS-0871)
sofnobrutinibは当社が創製した非共有結合型ブルトン型チロシンキナーゼ(BTK)阻害剤で、現在、免疫・炎症疾患を対象に開発を進めています。人の血液を用いた実験で、sofnobrutinibはB細胞や好塩基球の活性化を強力に阻害し、TNF-α、IL-17、MCP-1やIL-6などの炎症性サイトカインの産生を抑制することが示されています。sofnobrutinibはリウマチモデルであるコラーゲン誘導関節炎モデルや、アレルギー性皮膚炎モデルであるIgE依存性皮膚炎モデルにおいて、優れた治療効果を示しています。
sofnobrutinibのフェーズ1試験は健康成人を対象とした単回投与用量漸増(SAD)試験および反復投与用量漸増(MAD)試験で構成され、オランダで実施されました。SAD試験では全ての用量で安全性及び忍容性が確認されました。また薬物動態も良好で、薬力学的評価として実施したB細胞および好塩基球の活性化を100 mg以上で強く阻害する効果が確認されました。新製剤で実施したMAD試験においても、全ての用量で安全性及び忍容性が確認され、投与用量に依存して血中薬物濃度が増加し、良好な薬物動態プロファイルが確認されました。また、150 mg BIDおよび300 mg BID投与群において、薬力学的作用の指標である好塩基球活性化を強力に阻害(90%以上)しました。本フェーズ1試験の結果から、sofnobrutinibの安全性、忍容性、並びに良好な薬物動態プロファイルと薬力学的作用が確認され、フェーズ2への移行が支持されました。
BTK inhibitors in inflammatory and immune disorders
BTKはTecチロシンキナーゼファミリーに属するキナーゼで、主にB細胞や骨髄球系細胞の単球、マクロファージ、好中球、好塩基球、肥満細胞などに発現しています。B細胞においては、B細胞抗原受容体(BCR)シグナル伝達で重要な役割を担っており、リウマチや全身性エリトマトーデスのような自己免疫疾患において、異常なBCRシグナルによる自己抗体の産生に関わっていると考えられています。さらにBTKは骨髄球系細胞のFcγ受容体のシグナル伝達も調節しており、リウマチ症状を悪化させるIL-6やTNF-αなどの炎症性サイトカインの産生にも関わっています。BTKはアレルギー疾患においても、好塩基球やマスト細胞に発現するFcɛ受容体を制御し、疾患の発症に重要なヒスタミンやロイコトリエンのような化学伝達物質の放出にも関与しています。これらのことから、BTKは自己免疫疾患やアレルギー疾患の治療標的分子として注目されています。
  • AS-1763
  • 標的: BTK
  • Discovery Preclinical Early Clinical Late Clinical
AS-1763
AS-1763は、慢性リンパ性白血病(CLL)を含む成熟B細胞腫瘍の治療を目的として開発中の、野生型および薬剤抵抗性変異型Bruton’s Tyrosine Kinase(BTK)の両方を阻害する高選択性で非共有結合型の経口投与可能な化合物です。イブルチニブを代表とする共有結合型BTK阻害薬は、CLLや他の成熟B細胞腫瘍の標準選択薬として使用されています。しかしながら、多くの患者で、BTKの481番目のシステイン残基(C481)がセリンに置き換わる変異が生じて、共有結合型BTK阻害剤の結合が弱まり、薬剤耐性になることが報告されています。また、2023年に承認されたピルトブルチニブや開発中の非共有結合型BTK阻害剤に対する新たな耐性変異も報告されています。AS-1763は、野生型BTKおよび薬剤抵抗性変異型BTKのリンパ腫細胞の両方の増殖を強く阻害することから、既存のBTK阻害剤に不応となった患者の治療にも有効と考えられます。2021年にAS-1763の健常人を対象とした単回投与用量漸増フェーズ1試験をオランダで実施し、全ての用量でAS-1763の安全性、忍容性、良好な薬物動態および薬力学プロファイルが確認されました。2023年に開始した米国におけるフェーズ1b試験は、治療歴を有する慢性リンパ性白血病(CLL)・小リンパ球性リンパ腫(SLL)およびB細胞性非ホジキンリンパ腫(B-cell NHL)の患者を対象とし、用量漸増パートと用量拡大パートの2つのパートから構成されています。現在実施中の用量漸増パートでは、最大耐用量(MTD)および用量制限毒性(DLT)を決定することを主目的とし、副次的に安全性、忍容性、薬物動態、さらに有効性についても評価いたします。用量拡大パートでは、用量漸増パートで推奨された複数の用量で症例を追加し、安全性、有効性、薬物動態を調査し、フェーズ2試験の推奨用量(RP2D)を決定することを目的としています。
BTK inhibitors in CLL and B-cell malignancies
BTKは、B細胞の分化・増殖に関与するB細胞抗原受容体(BCR)シグナル伝達に重要な役割をしていることが知られており、血液がんの重要な治療標的として認識されています。共有結合型BTK阻害薬はCLLを含む成熟B細胞腫瘍の有効な治療薬として幅広く使われていますが、これらBTK阻害剤に対する薬剤耐性が深刻な問題となってきています。近年、耐性患者においてC481S変異したBTKが高頻度に見い出され、この変異がBTK阻害剤の共有結合を妨げ阻害活性を低下させることが主な薬剤耐性の原因と考えられています。このような背景からBTK C481S耐性変異に対する新しい治療方法の開発が非常に望まれています。次世代型非共有結合型BTK阻害剤は、この薬剤耐性患者の有望な治療薬として大変期待されています。
  • Small
    Molecule
  • 標的: ALK5
  • Discovery Preclinical Early Clinical Late Clinical
  • Small
    Molecule
  • 標的: malaria
  • Discovery Preclinical Early Clinical Late Clinical
  • Small
    Molecule
  • 標的: CDK1
  • Discovery Preclinical Early Clinical Late Clinical
  • Small
    Molecule
  • 標的: STING
    (antagonist)
  • Discovery Preclinical Early Clinical Late Clinical
STINGアンタゴニスト
cGAS (cyclic GMP-AMP synthase) - STING (stimulator of interferon genes) シグナル経路は、自然免疫において中心的な役割を担っています。cGAS-STING経路は、ウィルスや細菌感染、細胞ストレスにより細胞質中に放出された細胞質DNAを感知して活性化され、I型インターフェロン(IFN)の発現ならびに自然免疫を誘導します。cGAS-STINGシグナルの異常は病気の原因となります。これまでにcGAS-STINGシグナルを恒常的に活性化する遺伝子変異では、肺、腎臓、関節などに重篤な炎症が引き起こされていることが知られています。これらの遺伝子疾患としてCOPA症候群、乳児発症STING 関連血管炎(SAVI)、エカルディ・グティエール症候群(AGS)、家族性凍瘡様ループス(FCL)が報告されています。また一部の全身性エリテマトーデスや関節リウマチ、がんなどでは、遺伝子変異に依存しないcGAS-STINGシグナルの活性化が病態発症に関与していることが示唆されています。