カルナバイオサイエンス株式会社

Company企業情報

用語説明

(アルファベット、あいうえお順)

ATP (Adenosine 5’-triphosphate)
ATPとは、アデノシン-5’-三リン酸の英名略称で、体の中でつくられる高エネルギー化合物のことです。ATPは、DNAの構成成分と同じヌクレオチドの一つで、分子内に3つのリン酸基をもっており、生体内では、このリン酸基が切れたり結合したりを繰り返しています。このリン酸基の授受が、様々な反応のエネルギー源となっており、キナーゼもこのATPを利用して生体内で様々なシグナルを伝えています。
ELISA法 (Enzyme-linked ImmunoSorbent Assay)
ELISA法とは、抗体を用い、試料中に含まれる抗原などの目的物を検出・定量する測定方法の一つです。様々な試料の測定に用いることができますが、当社グループでは主にMobility Shift Assay法やIMAP®法で測定が難しいキナーゼの活性を測定する場合に、ELISA法を用いています。またELISA法で測定できるアッセイキットも販売しています。
GCP (Good Clinical Practice)
GCPは、医薬品開発の国際的ルールとして、医薬品規制調和国際会議(ICH)が定めた臨床試験を実施するための基準です。日本においても、正しく治験を実施できるように厚生労働省により「医薬品の臨床試験の実施の基準に関する省令(GCP省令)」として定められています。
GLP (Good Laboratory Practice)
GLPは、アメリカで最初に制定された医薬品等の非臨床試験の安全性に関する信頼性を確保するための基準で、日本でも薬事法により、医薬品等の開発のために行われる非臨床試験のデータの信頼性を確保するための実施基準として定められています。
GMP (Good Manufacturing Practice)
GMPは、アメリカで制定された医薬品等の製造に関する品質管理基準で、日本でも医薬品医療機器等法に基づくGMP省令を遵守することが定められています。
IMAP®法
IMAP®法は、蛍光偏光の原理を用いた測定法の一つで、モレキュラーデバイス社により開発されました。原理詳細につきましては、モレキュラーデバイス社のHPをご覧ください。当社グループでは、一部のキナーゼ反応の測定にIMAP®法を採用しており、またIMAP®法で測定できるアッセイキットも販売しています。IMAP®は、Molecular Devices, LLC.の登録商標です。
Mobility Shift Assay法
Mobility Shift Assay法は、試料中に含まれる物質が、その分子量や電荷の違いによって性質が異なることを利用して分離・測定する方法です。他の測定方法と比べて正確性が高いことから、当社グループでは、メインのキナーゼ活性測定方法として、Mobility Shift Assay法を採用しています。またMobility Shift Assay法で測定できるアッセイキットも販売しています。
TR-FRET (Time-Resolved Fluorescence Resonance Energy Transfer)法
TR-FRET法は、時間分解蛍光と蛍光共鳴エネルギー転移という原理を組み合わせてタンパク質同士の相互作用を測定する方法です。アッセイにおける操作が簡便で測定時間も短いことから様々なアッセイに利用されています。当社グループでは、幅広いユーザーにキナーゼ測定を行っていただけるようにTR-FRET法で測定できるアッセイキットを販売しています。
X線結晶構造解析
キナーゼなどのタンパク質は各々違う立体構造をとっており、創薬においては、その立体構造を解明することで、合理的な化合物のデザインが可能となります。X線散乱を利用するX線結晶構造解析はタンパク質の立体構造を決定する手法の一つであり、現在最も広く利用されている技術です。
アッセイ (assay)
アッセイは、英語で「測定する」もしくは「測定法」という意味で、バイオの世界では、タンパク質や細胞などを用いた活性評価のことをアッセイと呼んでいます。
アッセイプラットフォーム(assay platform)
創薬研究においては、様々な手法を用いて、化合物の評価を多面的に行うことが重要です。この様々なアッセイ方法の原理・手法のことをアッセイプラットフォームと呼びます。当社グループでは、ELISA法、IMAP®法、Mobility Shift Assay法、TR-FRET法などの様々なアッセイプラットフォームを提供しています。
化合物
化合物とは、2種類以上の元素からできている物質のことを指しますが、医薬品分野における化合物とは、有機化合物のことを意味し、さらに狭義では低分子有機化合物のことを指すこともあります。
基質
基質とは、酵素と結合したのち、化学反応を受けて変換される物質の総称です。当社グループが扱うキナーゼは、2つの基質と結合します。すなわち、キナーゼの反応では、全てのキナーゼに共通する基質であるATPと、個々のキナーゼに特異的な基質(タンパク質、脂質、糖など)が必要となります。キナーゼに結合した特異的な基質は、ATPを用いてリン酸化され、リン酸化基質とADP(Adenosine 5’-diphosphate, ATPからリン酸基が一つ減った物質)に変換されます。
キナーゼ (kinase)
キナーゼは、生体内の化学反応を触媒する酵素の一つで、特定の基質にリン酸基を付加させる反応(リン酸化といいます)を触媒します。このリン酸基の付加は、他の生体反応のスイッチとなることが多く、生体内の様々なシグナルを制御しています。生体の恒常性維持に非常に重要な機能を司っていることから、生体には沢山の種類のキナーゼが存在しています。当社グループでは、キナーゼを用いたプロファイリングサービス、アッセイキットを提供するとともに、研究で用いるために様々な加工をした「キナーゼ蛋白質」も販売しています。
キナーゼ阻害剤
キナーゼ阻害剤とは、キナーゼの酵素活性を阻害する化合物のことで、キナーゼ阻害剤のうち、医薬品として承認されたものをキナーゼ阻害薬と呼びます。
キナーゼパネル (kinase panel)
キナーゼは非常に沢山の種類が存在することから、キナーゼ阻害剤の研究では、標的とするキナーゼ以外に、どのようなキナーゼを阻害するかを明らかにすることが重要です。当社グループでは300種類以上のキナーゼに対する阻害活性が評価できるサービスを提供していますが、簡便に注文できるように目的別に種類分けした(これをパネルと呼びます)各種キナーゼパネルアッセイを提供しています。
キナーゼプロファイリング (kinase profiling)
ヒトのキナーゼは、非常に沢山の種類が存在することから、キナーゼ阻害剤の研究では、標的とするキナーゼ以外に、どのようなキナーゼを阻害するかを明らかにすることが重要で、これをキナーゼ(選択性)プロファイリングと呼びます。キナーゼプロファイリングの結果から、対象疾患に対する効果や副作用を予測したりすることが可能となります。当社グループでは300種類以上のキナーゼを対象にしたキナーゼプロファイリングサービスを提供しています。
上市
上市とは、新薬が、臨床試験等を経て当局によって承認されたのち、市場に出ることをいいます。
スクリーニング (screening)
スクリーニングとは、英語で「ふるい分け」を意味します。医薬品の研究開発では、研究の出発点となる化合物を得るために、化合物集団(化合物ライブラリ)から、アッセイにより目的の活性を有する化合物(ヒット化合物)を見出すことを意味し、特に数万から数百万種類の化合物ライブラリを用いる場合をハイスループットスクリーニング(HTS, high-throughput screening)と呼びます。
セルベースアッセイ (cell-based assay)
医薬品の研究においては、沢山の化合物を同時に評価できる、組み換えタンパク質を用いたアッセイが標準的に用いられています。簡便な反面、このようなアッセイで効果があっても、動物試験で効果がないことがあります。そこで、動物試験との間を埋めるアッセイとして、実際の細胞を用いたアッセイを実施することで、効率的に動物試験で効果が高い化合物を選択することが可能となります。この細胞を用いたアッセイのことを、セルベースアッセイと呼びます。当社グループでは、様々な種類のセルベースアッセイを提供しています。
創薬における研究開発
新しい薬の候補となる新薬候補化合物を生み出すための研究のことを創薬研究(もしくは探索研究)と言います。創薬研究で創出した新薬候補化合物は、その後、ヒトに投与するために必要な毒性・安全性などを検討する前臨床試験を含む開発研究、新薬候補化合物を実際にヒトに投与して効果や副作用などを検討する臨床開発に進みます。
タンパク質間相互作用
実際の生体内では、タンパク質は単独ではなく、自己あるいは他のタンパク質と相互作用しながら様々な生物学的プロセスを制御しています。このような相互作用のことをタンパク質間相互作用と呼び、タンパク質間相互作用を解析することで、新しい創薬標的の発見につながることもあります。またタンパク質間相互作用自体を標的として創薬研究を実施することもあります。当社グループでは、タンパク質間相互作用の研究に役立つ様々なツールを提供しています。
ビオチン化キナーゼ蛋白質
当社グループでは、通常のキナーゼ蛋白質に加えて、ビオチン化したキナーゼ蛋白質を販売しています。ビオチンはビタミンの一種ですが、バイオ研究においては、ビオチンがアビジンと呼ばれる蛋白質に強く結合する性質を利用して、様々なアッセイに応用されています。当社グループでは、これまでに培ったキナーゼタンパク質を製造するノウハウを基に、ビオチン化キナーゼ蛋白質の開発に成功しています。
分子標的薬
近年、分子生物学の進歩により、様々な疾患の原因となる分子が特定されています。この分子を標的として特異的に治療することを分子標的治療といい、分子標的治療に用いられる薬のことを分子標的薬といいます。一般的に分子標的薬は治療効果が高く、副作用が少ないことが知られています。当社グループが研究開発しているキナーゼ阻害薬も分子標的薬の一つで、キナーゼ阻害薬は近年の癌治療の進歩に大きく貢献しています。
変異体キナーゼ
キナーゼが病気の原因となっているときは、そのキナーゼ自体が遺伝子レベルで異常になっている場合が多く(遺伝変異)、そのようなキナーゼを変異体キナーゼと呼びます。また分子標的薬による治療において、標的キナーゼが薬剤抵抗性の変異体キナーゼに変わってしまうことによって、突然、薬が効かなくなることがあり、治療上の問題となっています。当社グループでは、正常なキナーゼだけでなく、このような変異体キナーゼを多数取り揃えることで、キナーゼ創薬の推進に貢献しています。
リード化合物
低分子化合物の探索研究では、研究の出発点となるヒット化合物が沢山見つかることがあります。このヒット化合物群から、化学構造変換や初期試験を経て生み出された新薬候補化合物の原型となる化合物のことをリード化合物と呼びます。創薬研究では、このリード化合物を基にして、薬理活性や薬物動態を指標に、詳細な化学構造変換を行い、新薬候補化合物を創出します。この過程を特に、「リード化合物の構造最適化」と呼びます。
ルシフェラーゼ
生物の中には蛍のように自ら光を放つものがいます。この現象を生物発光といい、それらの体内では、ルシフェラーゼという酵素が、ルシフェリンという基質を用いて化学的エネルギーを光エネルギーに変換しています。当社グループでは、キナーゼのセルベースアッセイ(NanoBRET™)や、タンパク質間相互作用の解析にルシフェラーゼの生物発光を利用しています。